2016年11月20日日曜日

20161120 JBJSAm The age of orthoinfo: evaluating patient comprehension of informed consent

ご無沙汰してます。がみたけです。

股関節学会の準備、論文投稿でてんてこ舞いでこちらの更新が滞っておりましたが、久々に更新です。

JBJSAm から、
インフォームド・コンセントはどのようにやると効果的か?という論文です。




こういった膝の模型を患者さんに触らせながら、学会のホームページを使って説明すると効果があるよ。というのをわざわざ無作為割付試験でおこないましたよ。という論文です。
いいですね~。こういうなんだかわからないけど役にたちそうな論文。笑
皆様もぜひ明日の診療に応用ください。

  • Abstract
  • 整形外科の治療において患者の理解をえるためのインフォームド・コンセントは必須である。しかしながらどのように話をすれば患者の理解が得られるかという研究はいままでにない。本研究の目的はどのように患者に話をすれば理解がえられるかということを調べることである。
  • 膝に関節注射をうけることになった67名の患者を対象とした。3群に均等に割り付けた。コントロール群としてHearingのみ群。介入群としてこれにビデオを追加したものがHearing&Sight群。模型をもちいたのもをHearing, sight & touch群とした。それぞれの患者が研究者から10分間の説明を受けた。Nkemテストという患者理解を測定するためのテストを行った。ANOVAをもちいて各群間で比較を行った。
  • 理解度数はHearing, sight & touch群が84%で、Hearing群、Hearing&Sight群よりもたかかった。
  • 様々な方法をもちいて説明すると患者の理解度が高くなる。

  • 以下本文
  • インフォームド・コンセント(以下IC)は近代医学の根本理念の1つである。ICは患者の治療にたいする理解、意思決定、などに重要である。どのようにICをすると効果的かということは重要な研究課題の1つである。ICが足りず、患者とのコミュニケーション不全があるような場合に致命的な問題となることがある。それゆえにどのように話したらよいかというノウハウを獲得しておくことが必要である。
  • これより以前に行なわれた研究では、ICでの患者の理解度を測定してこなかった。ある研究ではICの57%としか必要なレベルに達していないとする報告がある。一般に、医者がおこなう説明は全てを網羅しようとする余り難しくなり、患者の理解を越える。ICの書類にサインをしたあとに患者の理解が足りないことに気がつくこともある。どのように患者の理解を得るかは重要である。
  • 今までに整形外科領域で同種の研究は殆ど行われてこなかった。AAOSの患者向けサイトをもちいてランダム化して研究を行った。
  • 18歳以上で膝のOAと診断され膝の関節注射が必要であった77名の患者を対象とした。3群に割り付け、まず研究参加における文書での同意を得た。ICのあとに、Nkemという満足度を測定するテストを受けた。
  • 3群の詳細は以下の通り。
  • Hearing群は文書をもちいて説明を受けた。
  • Hearing&Sight群は膝関節注射のアニメ化されたビデオをまず鑑賞し、その後研究者から文書をもちいてビデオの説明とともに説明を受けた。
  • Hearing, Sight & touch群は参加者に膝の模型を持たせて、それを実際に触らせながら説明を行った。
  • Outcomeの測定は、まずNkemという筆者が独自に作成した理解度テストをICのあとに行った。第2のアウトカムとして満足度の測定をおこなった。これは5段階評価で行った。
  • 質問紙を作成する段階で効果量を測定し、それから必要なNは57と計算した。
  • 統計学的にはANOVAをもちいて3群間比較を行った。
  • 結果
  • 図1のように3群に分けられた。患者背景は表1に示した。50歳以上の黒人が多かった。
  • 理解度数はHearing, sight & touch群が84%で、Hearing群、Hearing&Sight群よりもたかかった。これは有意差を認めた。年齢、性別には関わりが無かった。
  • 満足度についてはいずれの説明でも差を認めなかった。
  • 95%の患者がこれらのいずれの説明でも満足していた。
  • 考察
  • 本研究ではICのやり方で、その結果に違いが出ることを明らかとした。言葉とモデルを使った説明は他の方法よりも理解が深まることがわかった。我々はこの方法がICの際にもっともよい方法であると考えた。
  • 視覚、触覚、聴覚の3つを使うと他の方法よりもよい。このことを信頼性が保証された方法で明らかとした。これらは以前からの報告とも一致する。
  • 本研究で予想外であったのは性別、人種間で差がなかったことである
  • われわれの第2のアウトカムは満足度に関するものである。満足度は説明を受けた際にいずれの方法でも上昇していた。これらの間には差を認めなかった。
  • 95%の患者がOrthoinfoの情報に満足していあt.このようなインターネットのサイトを使うと患者満足度をあげることができるかもしれない。AAOSによって保証された情報を提供することで偏った治療法に誘導することも減るかもしれない。
  • サンプルサイズが少なくて人種間での差を確認できなかったことがLimitationである。

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