2012年2月17日金曜日

20120217 JBJS(Br) Conseravative management of patients w/ an osteoporotic vetebral fx

骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に対するレビュー

抄録
骨粗鬆症性圧迫骨折の増加は社会的な健康問題となってきている。これらの骨折に対する椎体形成術などが無作為割付試験として行われてきたが、これらの治療を行うにあたってどのような人に適応するかということや、これらの治療の位置づけということはわかっていない。保存療法とこれらの手術療法との比較のメタアナライシスは行われていないし、また未だにベッド上安静、疼痛コントロール、運動療法、装具療法などの保存療法も一般的である。
このレビューは脊椎圧迫骨折の患者に対する保存療法の最も良い根拠を探すために行った。

結果
疼痛のある腰椎圧迫骨折に対しての最も適切な治療法はどれだ、ということは出来ずまたレビュー出来るだけのエビデンスレベルの高い論文も殆ど無かった。圧迫骨折に対する治療目標は2つあり、ひとつは疼痛を改善してリハビリテーションを行うことである。もう一つが臥床にともなう骨粗鬆症の評価と治療である。
腰椎圧迫骨折の疼痛はだいたい3ヶ月経過すると軽快する。鎮痛剤としてはアセトアミノフェン、サリチル酸、NSAIDSが用いいられるが消化管出血、腎障害のリスクに注意を払わなければならない。NSAIDsが原因としておこる消化管出血による死亡者はアメリカでは16000人/年に及ぶと言われている。腹痛、下痢、口渇、皮疹、めまい、頭痛、易疲労感などの症状や、高血圧、心臓病の併存症がある患者では心血管イベントを高率に起こすとも言われている。最近のNSAIDsやCOX2は消化管症状を減らしているが、未だに心血管イベントとの関連は指摘されている。
NSAIDsをたくさん使うことが骨癒合を遅らせているのではないかということも言われているが、今回のレビューでは明らかとならなかった。オピオイド製剤は最初に治療を行なって反応をみてから適切に投与されるべきであろう。アセトアミノフェンとの合剤のオピオイドが販売されているが、呼吸回数の低下、バランスを失ったり転倒のリスクの増加。うつ状態への配慮が必要となる。筋弛緩剤は圧迫骨折に伴う金収集区政の疼痛に対して有効であるが急性腰痛症に対しての適応しかない。筋の収縮による腰痛は止めることができる。ただこれらのクするにもめまい、眠気、依存症などがあることに注意する。

急性期の腰椎圧迫骨折の疼痛を訴える患者に骨粗鬆症の治療を行うと有効であることが知られている。カルシトニンの筋肉注射は圧迫骨折による急性腰痛の患者に対して有効であった。ビスフォスフォネート製剤の静注をアセトアミノフェンとの合剤で治療したものは最終的な運動機能が良かったとする報告もある。

テリパラチドを疼痛コンロロールに用いる。ということも考えられてきている。2つの文献のメタアナライシスの結果からは疼痛を早期に改善するのではないかと言われている。

装具療法は患者を選べば重要な治療法の一つである。装具療法は脊椎安定化による疼痛の軽減と変形の進行予防である。またベッド上安静の期間を減らすことで早期運動療法が可能となる。
しかしながらあくまでもよく言われている意見でしかなく、前向きの無作為割付試験はまだ一つしかない。
骨粗鬆症がない患者での装具療法の有効性は言われている。

患者がつけやすく、呼吸抑制をしないような軽く装着が容易な装具が理想である。
さまざまな装具がある、(ジュエットの装具、テーラーの装具など。)患者に合わせた装具の選択が必要である。
ジュエットの装具は屈曲、伸展は抑制するがローテーションや横の動きには対応していない。

コルセットと体幹筋力への影響も調査されている。腹圧の上昇とは関係なく装具を装着すると腹筋の活動電位が下がることがわかった。腰仙骨装具や、プラスチックの胸腰椎装具を装着すると脊柱起立筋の活動電位の上昇が認められた。

短期間のベッド上安静の後から積極的に運動療法をすすめるべきである。運動療法を行うことで骨密度の増加が認められ、骨折リスクの低下が認められた。背中を伸ばすような運動のほうが腹筋運動よりも新規骨折を減らすことがわかったのが一つのトピックである。

過度の腰椎の後弯は臨床上の問題となりうる。肋骨と腸骨の間が狭くなっていることは疼痛や呼吸状態の悪化の原因となりうる。背筋を伸ばすような運動は後弯変形に対して有用である。後弯の矯正はQOLの改善につながる。

自宅での運動療法も有用であるとする比較的エビデンスレベルの高い報告がある。

マッサージなどの物理療法も有効であろう。

現在一般的に知られている骨粗鬆症性腰椎圧迫骨折に愛する治療はいずれも適当ではない。装具による治療が行われているものの、適切な研究デザインのものは一つしかない。
椎体形成との比較が今後行われていくこととなるであろう。


【論評】
背筋を進展させるような運動のほうが有用であるということがわかったことが少しタメになりましたかね。この分野もまだまだ調べることはたくさん有りそうです。

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