2011年4月8日金曜日

20100408 JBJS The Increased Financial Burden of Further Proposed Orthopaedic Resident Work-Hour Reductions

背景
週80時間以内に研修医の拘束時間を減らす、という試みが行われたが、それにともなう卒後研修に関わる費用は増加しなかった。多くの教育研修施設では研修医の労働時間の短縮に対応して、co-worker(NPなど)を雇うことで対応した。現在研修医の就業時間を56時間まで減らそうという提案がある。今回の研究はこれ以上の労働時間の短縮が費用に与える影響について調査することである。
方法
80時間制限後からco-workerを雇うことでその問題に対処した152施設に調査票をおくった。36施設、1021人のレジデントから回答があった。以前の公表されたデータが80時間制限の実施後と比較に使われた。一人のレジデントあたりに対する新規の職員の雇用数を算出した。そしてそこからこれ以上レジデントの勤務時間を減らした場合のコストの変化について調査を行った。
結果
80時間制限が行われた結果、レジデント一人当たりの勤務時間は週あたり5時間減少した。143人のco-workerがその穴埋めに働く事となり、一つのユニットあたり96,000ドルがかかった。56時間まで研修医の勤務時間を減らすとすると、一人の研修医あたり64,000ドルかかることが推定された。アメリカ全土で3200人の整形外科レジデントがいるので、1億4700万ドルから2億800万ドルの経費の増加が見込まれる。1時間動労時間を減らすことで800万ドルから1200万ドルの増加が考えられた。
結論
研修医の労働時間制限は、患者への有害事象をへらすことなく、高コストに終わる。政府はこのデータを参考として今後の研修医の就業時間についてのあり方を検討すべきだ。さもないとコスト的に教育が成り立たなくなる。

<論評>
アメリカでは医学教育はACGMEが一括して管理しています。2003年から研修医の労働時間は80時間以内にすべし!とお達しが出ておりました。(疲労によるミスを減らすことを目的としていたはずです)
今回のこの報告は金銭的な面から真っ向から喰いつくものです。
労働時間の制限で、事故が減る?有意差ないじゃん!と考察でも噛み付いています。しかも人が増えて手術経験できないし、みんなやる気がなくなってるんじゃないと考察しています。

研修医の労働時間短縮に、学会としても反対していますよ、という一つの意見広告かと感じました。

日本が古来より研修医を安くこき使っていたのは、この研究の結果を前もって知っていたからではないかなんて思ったりしました。笑

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