BJJから
最近のはやりだった大径骨頭、前方進入じゃなくてもいいんじゃね?という論文。
僕の個人的な経験として、上手な先生の後方進入は確かに脱臼しないんですよね。
猫もしゃくしも。。。。に一石を投じたという意味で面白いかと思って読んでみました。
抄録
長期の成績が明らかになっていないにもかかわらず、最近THAでは大径骨頭が使用される頻度が増加している。これは脱臼の防止に有効であるという観点からである。しかしながら、後方の関節包の再建は大径骨頭にするとの同じくらいの効果が有るのではないかとこの筆者らは考えている。2004年から2011年までに512例のセメントTHA。22ミリ骨頭を使用。臼蓋の横靭帯を指標にしてできるだけ正確にコンポーネントを設置。平均年齢67歳。平均フォロー期間は2.8年。術前術後のOxford Hip Score、SF12,
UCLAスコアを聴取。他覚的評価はAngeles Merle DAuiigneスコアを使用。カップの設置角をデジタルに計測。脱臼は4股、0.78%であった。結論として22ミリ骨頭、後方アプローチで会っても正しいカップ設置と関節包の再建で脱臼率は低くすることができる。
はじめに
脱臼はTHAの中で最も重要な合併症のひとつである。反復性になった場合にはその治療に難渋する。脱臼の約半分が術後3ヶ月以内に起こり、そのうちの35%から60%が反復性脱臼に移行する。脱臼の病因として考えられていることは、患者側の要因としては年齢、神経学的疾患が併存症として存在すること、軟部組織バランスが悪いこと、術前の関節可動域が良いことなどが挙げられる。インプラントの要因としては骨頭径、臼蓋コンポーネントのデザインが挙げられ、術者側の要因としてはアプローチ、体位、軟部組織バランス、術者の経験が挙げられる。イギリスでは側方アプローチについで後方アプローチがよく使われる。スエーデンの国家レジストリーでは後方アプローチは脱臼の危険因子であると報告されている。近年、大径骨頭の使用が増加している。これは脱臼防止を意図したものである。2003年には36ミリ大径骨頭の使用は1%に満たなかったものの2010年には28%まで増加している。術後1年半までの報告では大径骨頭の使用は確かに脱臼を減少させている。以上の結果からすると小骨頭、後方アプローチの使用は打球のリスクを増加させていると言える。骨頭径の比較、アプローチのコンビネーションでの比較をした研究では後方アプローチにあわせて小径骨頭の使用は10年で12.5%もの脱臼がおこると報告されている。しかしながらこれらの報告では後方要素の再建がおこなわれておらず、26ミリから28ミリ骨頭の使用の間で6.2%から0.8%への脱臼率の減少が言われているもののより小さな骨頭でどうなるかということはわかっていない。また臼蓋コンポーネントの設置不良も脱臼の原因と鳴る。未だに理想的な臼蓋コンポーネントの設置位置には議論がある。本研究の目的は小骨頭を用いた後方アプローチTHAで横靭帯を指標として正しくコンポーネントを設置し、強固に後方成分を再建した場合の脱臼率について報告することである。
手術方法
外旋筋群と関節包は一塊として大転子から切離。横靭帯を指標として臼蓋コンポーネントを設置。40-45度の外方開角、10度の前方開角を目標にして臼蓋コンポーネントを設置。外旋筋群と関節包は大転子に穴をあけてほう着。
結果
4例の脱臼で全て前方脱臼が認められた。0.78%。
考察
歴史的にTHAの脱臼率は1%未満から9%以上まで差がある。0.78%という我々の数字はあらゆる報告の中でも優れた部類に属する。以上から小骨頭、後方アプローチの影響はないものと思われる。横靭帯を指標にして臼蓋コンポーネントを設置すると良い。また後方要素の再建を行うと脱臼率が4.5%から0.5%に下がるとするシステマティックレビューがあるのでこれも行うべきである。
今までの後方アプローチの報告では後方要素の再建を行なわずに脱臼している例が多いので、後方要素の再建は行うべきであろう。
大径骨頭を用いると関節可動域が増加し、ジャンピングハイトが増加し、インピンジメントしにくくなるといったメリットがある。しかしながら大径骨頭ではいまだにポリエチレンウエアが増加する危惧を払拭できない。
この研究は単施設で一人の術者の監修のもとで行なわれたケースシリーズである。今後はRCTも考慮すべきであろう。
結論として後方アプローチ、小骨頭を使用しても低い脱臼率を実現することは可能である。
<論評>
後方アプローチで後方要素を再建しないということはありえないと思ってました。苦笑。関節包と外旋筋群を一塊にして観音開きのように展開するのだと思います。
あくまでも「上手な術者が上手に行うと」低い脱臼率が実現したということです。RCTを行うと論文に書いて有りましたが、多施設で行うと予想としてはやはり小骨頭、後方アプローチはやや不利かなと。(僕自身は後方アプローチ、28-32骨頭派です。)
ポリエチレンウエアは骨頭サイズよりもクロスリンクかどうかの方が大きく影響していると思います。某メーカーで22ミリ骨頭はconventional polyetylene、28mmではhigh cross linkを発売しております。そうなるとHigh cross llinkのほうが摩耗が少ないのではないかと予想してます。材質の違いは骨頭径よりも大きく影響しているはずというのが僕の意見です。
人工関節はアプローチ、骨頭径よりも術者の技量をまず挙げて正確に設置することですよ。また再建できるものは再建して美しい手術をすることですよ。というメッセージと受け取りました。
2014年10月2日木曜日
2014年9月24日水曜日
画像を使ってください
大腿骨頭壊死症の厚生労働省分類
Sugano, Nobuhiko, et al. "The 2001 revised criteria for diagnosis, classification, and staging of idiopathic osteonecrosis of the femoral head." Journal of orthopaedic science 7.5 (2002): 601-605.
を改変したものです。
上記論文を引用ください。
図は著作権はがみたけに所属します。お使いになりたい方は
gamitake1919あっとまーくgmail.com
までご連絡ください。
パワーポイントファイルをお送りしますのでそれを少しいじって使っていただければ著作権の問題をクリア出来ます。
Sugano, Nobuhiko, et al. "The 2001 revised criteria for diagnosis, classification, and staging of idiopathic osteonecrosis of the femoral head." Journal of orthopaedic science 7.5 (2002): 601-605.
を改変したものです。
上記論文を引用ください。
図は著作権はがみたけに所属します。お使いになりたい方は
gamitake1919あっとまーくgmail.com
までご連絡ください。
パワーポイントファイルをお送りしますのでそれを少しいじって使っていただければ著作権の問題をクリア出来ます。
がみたけ 英語論文 投稿への道 その1
こんにちわ。管理人です。
論文を読んでケチを付けるだけではなく、論文を投稿するほうに回らねばと勢い込んで半年。ようやく投稿までたどり着きました。(投稿であって掲載ではない。)
ちょっとしたことが論文投稿のイライラにつながることがわかったので、メモ的に残しておきまする。
1,Figure と Tableはちがう。
Tableは図にせずに、Wordで作ればいいんですね。初めて知りました。
2, Figureの解像度には注意が必要。
現在裕福なラボにいるため、Photoshop, Illustoratorが使えます。
画像は300dpi以上を要求されます。そこでphotoshopが大活躍。
photoshop ー> fileをひらいて、 ー>
すべてを選択 ー> イメージのなかの画像解像度をクリックして、解像度を 300dpiに設定するだけ。
3 グラフの解像度調整はマックよりもWindowsの方がよい?
白黒グラフでは1,200dpiというかなり高画質を求められておりました。TIFFにするとめちゃんこでかいファイルに。epsというファイル形式にすれば良いらしいと学びました。
マックを使っていますけど、グラフをPDF化して保存。 PDFをillustratorで開く。 その上でEPS形式で保存しなおせば良いらしいですが、ホントに大丈夫かどうかは投稿してからのお楽しみ。
論文を読んでケチを付けるだけではなく、論文を投稿するほうに回らねばと勢い込んで半年。ようやく投稿までたどり着きました。(投稿であって掲載ではない。)
ちょっとしたことが論文投稿のイライラにつながることがわかったので、メモ的に残しておきまする。
1,Figure と Tableはちがう。
Tableは図にせずに、Wordで作ればいいんですね。初めて知りました。
2, Figureの解像度には注意が必要。
現在裕福なラボにいるため、Photoshop, Illustoratorが使えます。
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3 グラフの解像度調整はマックよりもWindowsの方がよい?
白黒グラフでは1,200dpiというかなり高画質を求められておりました。TIFFにするとめちゃんこでかいファイルに。epsというファイル形式にすれば良いらしいと学びました。
マックを使っていますけど、グラフをPDF化して保存。 PDFをillustratorで開く。 その上でEPS形式で保存しなおせば良いらしいですが、ホントに大丈夫かどうかは投稿してからのお楽しみ。
2014年8月23日土曜日
20140823 BJJ Pre-operative function, motivation and duration of symptoms predict sporting participation after total hip replacement
<論評>
原文を引いていただくとわかりますが、図の中の数字のミスが多発。本文中の数字と図の数字が違っています。表1の意味なんかもまったくわからないですし。。
なんでこの論文が載ったのかまったくわからないレベルです。読んじゃったけど。(苦笑)
THAとスポーツについて調べているヒトが参考文献を探すのに役に立つ程度の内容でしかありません。
術前の機能、モチベーション、症状の持続していた期間がTHA術後のスポーツ活動に影響を与える。
今までにTHA後のスポーツ活動レベルについて述べた報告はほとんどない。本研究の目的はTHA術後のスポーツ活動レベル、第二にスポーツ活動を再開するかどうかに影響する因子はなにか、第三にスポーツを満足度との間に関連があるかどうかを調べることである。後ろ向き、815例の検討。1995年から2005年までに行なわれたTHAを対象とした。自己記入型アンケートにてスポーツアクティビティについて聴取。571例について検討を行った。平均フォロー期間は9.8年。366例がUCLAスコア5以上のスポーツアクティビティに復帰していた。スポーツを控えた主な理由は脱臼が怖いと回答したのが65例31.6%、摩耗しないようにしたいというのが52例25.4%、術者に辞めるようすすめられたというのが34例16.6%であった。術後スポーツに復帰するための因子は、術前のharris hip scoreが高いこと、スポーツに対するモチベーションが高いこと、罹患期間が短いことであった。年齢とUCLAスコアと術前のharris hip scoreと満足度との間には相関が認められた。
結論としてTHA術後に多くの患者がスポーツに復帰していることがわかった。参加レベルは術前の機能、モチベーション、罹患期間が短いことと関連しており、また術後の満足度とも相関していた。
はじめに
THAは整形外科手術の中でももっとも成功しているもののひとつである。THAは今後手術数が増加することが予想され、疼痛除去だけでなくより高いスポーツレベルへの復帰も求められている。多くの患者の作成したウエブサイトをみると、THA後のスポーツ復帰が重要であることがわかる。しかしながら今までTHA後にスポーツにどの程度、どのレベルで復帰したかという報告はない。多くの研究ではTHA後にスポーツに復帰したかどうかのみを調査しており、実際にどの程度活動しているかを調べた報告はない。本研究の目的はTHA後にどのレベルで復帰しているかを調査し、その次にスポーツ復帰が可能であるかの術前予測因子を明らかにし、第3にTHA後にスポーツをしているかどうかと患者満足度の相関を調査することである。
対象は1995年から2005年までにOA、IONなどに対してTHAを受けた1084例のうち回答が得られた815例。
この内の70%、571例から完全回答を得た。(図1)
ワトソンジョーンズアプローチ。セメントレスインプラント。UCLAスコア、HOOSを聴取。
2007年の段階で患者たちはどの程度スポーツに参加しているかを調査されていた。またスポーツに対する意欲、満足度もアンケート調査
平均61.3歳。平均BMI27、平均罹患期間は41ヶ月。アンケートまでの平均フォロー期間は10年。
THAに至った理由は疼痛が84.9%、ADL制限が61.9%、ROMの制限が42.9%、医師に勧められたのが30.9%、スポーツへの復帰を希望するのが23.9%であった。
結果
366例の患者がUCLAスコア6位上のスポーツへの復帰が可能であった。平均UCLAスコアは6.8であった。(図2)
HOOSはスポーツが81、疼痛が81.3、症状が88、ADLが85.2、QOLが82.8であった。(図3)
スポーツに復帰しなかった理由は脱臼が怖いのが31.7%、摩耗をさけるためが25.4%、医師の指示にしたがってというのが16.6%、こわばりが16.6%、痛みの残存が11.7%であった。(図4)
AAHKSのオススメでオススメ出来ないスポーツに復帰している患者が全体の26.6%であった。復帰したスポーツはジムが72.4%、ストレッチが63.9%、スイミングが57.5%であった。バスケット、サッカー・テニス、ゴルフ、セーリングなどのスポーツは控える傾向にあった。(表1)
術後スポーツに復帰するかどうかの術前の因子は、術前のHHSが高いこと、スポーツへの復帰の意欲が高いこと、手術までの罹患期間が短いことが挙げられた。HOOSのスポーツスコアとUCLAスコアは関連を認めなかった。
THA術後88.9%の患者が満足していた。年齢、UCLAスコア、HHSスコアが満足度と相関していることがわかった。(表2)
考察
THAの患者さんのなかの何割かはスポーツに復帰することが目的という人もいる。スポーツへの復帰はTHAを受ける理由のうちの一つとなる。今までにTHA術後のスポーツへの復帰についての調査がある。またエキスパートによるrecommendationもある。TKA術後のスポーツ復帰についての報告は多数たるものの、THA術後のスポーツ復帰の報告は少ない。術者のしらないところでTHA術後の患者さんはスポーツに復帰し、またそのような患者さんは高いモチベーションを持っているものと推定された。本研究はいくつかのlimitationがある。ひとつは後ろ向き研究である。回答が得られた例はより熱心な例であるバイアスがかかっている可能性がある。しかしながら本研究では術前のアクティビティを取得してあったのでその問題は回避できているかもしれない。第2のlimitationはスポーツアクティビティについての強度、期間などを聴取できていないことも問題である。これはUCLAスコアでは一応スポーツの頻度も聴取されているので解決出来ている問題と考える。
THA術後にhigh impact sportsを行うことの潜在的な危険性が指摘されている。ジョギング、バスケットボールなどはコンポーネントが破損する可能性が高いので禁止したほうがよいとする報告がある。一方スポーツをすることでbone ingrowthが進み、健康全般には良い影響を与え、肥満を防止できるのでは無いかとする報告もある。本研究で明らかになった重要な点は患者は術者の指示を無視して高いレベルの運動に復帰している可能性があるということである。
平均のUCLAスコアは6.8であった。これはサイクリングのような運動を定期的におこなうことができるレベルである。この値は他の報告とほぼ一致している。復帰率は多の報告で76%とされている。本研究も同様であった。27%の患者が推奨されないスポーツを行った。
THA後にスポーツを行う人は高いモチベーションと高い期待感を持った患者さんであると考えた。TKAの場合でも同様の結果であるという報告があった。男性であること、痩せていること、術前のUCLAスコアが高いことが術後の復帰因子であるとする報告がある。THA術後の患者でもUCLA7位上にたもっている患者が全体の12%いたとする報告がある。本研究とこの報告との違いはフォロー期間によるものでは無いかと考えている。
術前の期待度が術後の満足度と関連するとする報告がある。本研究では若くて活動性の高い患者では満足度が低くなるという相関を認めた。これは高い運動能力をもった患者では術後も同様の能力を期待するからであろう。
術後6ヶ月間は運動を禁止している。また32ミリのセラミック骨頭とハイクロスリンクのポリエチレンを使用している。摩耗量は荷重と活動性に関連するであろう。
多くの患者がスポーツに復帰することがわかった。スポーツ復帰の予測因子は術前機能と罹病期間であった。満足度とスポーツ復帰は関連した。患者にこのような情報を与えることは重要なことである。
2014年8月19日火曜日
20140819 Annals of Internal medicine One-Year Outcome of Subacromial Corticosteroid Injection Compared With Manual Physical Therapy for the Management of the Unilateral Shoulder Impingement Syndrome
<論評>
RCTってしっかりデザインすれば結構簡単にできるんじゃね?しかもImpact factor 16!の雑誌に載るなんて素敵じゃね?ということで読んでみました。
日常の疑問を研究にする。これが基本かもしれません。
抄録
肩のインピンジメント症候群に対してステロイド注射、理学療法はともに治療として用いられるが今までにその2つを比較した報告はない。本研究の目的はこの2つの治療法のいずれが有効かということを比較することである。無作為割付、シングルブラインド、による並行比較試験。セッティングはアメリカの軍人病院ベースの外来患者を対象としている。2010年から2012年まで。18歳から65歳までの104人の片方の肩関節インピンジメントの患者。2群に分け一方には40mgのステロイドをSABに注射。もう一方は6つのセッションからなるリハビリテーションを行った。プライマリーエンドポイントはShoulder pain and disability score(SPD)の評価。セカンドアウトカムからGlobal rating system、NRSによる疼痛評価を行った。結果、2群とも1年でSPDは50%程度回復した。2群間に差は認めなかった。GlobalRatingシステム、NRSによる疼痛評価は2群とも改善を認めたが、2群間に有意差はなかった。1年後のフォローアップで、注射群のほうがより頻回にクリニックを受診していた。(60%と37%)。さらなる注射を必要とした例は38%と20%。19%が理学療法を行った。肩関節へのステロイド注射の合併症は注射するときのいたみだけであった。Limitaitonは1施設による検討であること結論 2群とも有意に改善を認めた。リハビリ群はステロイド注射群に比べて医療機関の利用回数が少なかった。
はじめに
肩関節インピンジメント症候群は肩周辺の腱板損傷、腱板炎、肩関節内の関節包炎などを包括している用語である。一般に5-30人/1000人年に発症するとされている。
保存療法としてはステロイドの関節内注射、理学療法が行なわれる。肩関節下へのステロイド注射は整形外科医、リウマチ科医、一般医によっても最もよく行なわれる手法の一つであるがその長期的な硬化においては疑問がある。腱板断裂を伴わない腱板損傷の患者に対してのステロイド注射についてはガイドライン上でも推奨も否定もできないとなっている。近年のsystematic reviewでは肩関節インピンジメント症候群に対するステロイド注射については短期間での効果はありそうだということとなっている。一方、理学療法も肩関節インピンジメント症候群に対しては有効であると報告されている。最新の2つのシステマティックレビューでは理学療法の意義についてははっきりとしたエビデンスがなく、今後の研究が必要であると結論づけられている。肩関節インピンジメント症候群の患者ではどのタイミングでリハビリを開始したほうがよいかということも一定では無く、初診時に理学療法が行なわれるのは24%にすぎない。肩関節の注射ごのリハビリの効果の有無についての報告はいくつがあるものの、今までに注射とリハビリを直接比較した報告はない。本研究の目的は肩関節インピンジメント症候群における1年後の臨床評価の比較を行うことである。
方法
一重盲検無作為割付試験。プライマリーエンドポイントは1年後のShoulder pain and disability score。(SPADI)。セカンダリーエンドポイントとしてはGlobal rating scale of change(GRC) とNumeric pain ratio scale(NPRS)を用いた。その他臨床試験のお作法に従い、IRBの承認を得て研究を行っている。
Material and method
片方の肩関節のいたみのためにMadigan Army Medical Centerの外来を受診した18歳から65歳までの患者。肩関節の脱臼、骨折、凍結肩の患者は除外。SPADIが20%以下の重症な患者、頚椎症が少しでも疑われるような患者、腱板断裂が疑われるような患者、訴訟を抱えているような患者、3週間の外来受診が困難な患者は除外した。患者は軍人とその家族である。研究に伴う患者の追加出費はないものとした。
一重盲検法。コンピュータによって無作為化された。被検者と治療者は治療方法を知っており、評価者のみが知らないという状態とした。一般医による治療を容認できる被験者を対象としている。
リハビリ群
初回のセッションではPTが身体所見をとる。リハビリ群の介入は関節と軟部組織のimmobilizationが主体である。ストレッチ、神経筋協働訓練、筋力強化訓練(肩関節周囲から脊椎まで)。被検者はまったく同一の治療を受けたわけではなく個々の障害に応じた治療を受けた。3週間にわたって週2回ずつ実施された。また自宅での訓練の方法も提供した。PTはすべてアメリカPT学会の認定を受けていた。
ステロイド注射群
SABに40mgのトリアムシノロンを注射した。被験者にはステロイド注射によって起こるであろう副作用についての冊子を渡しておいた。合計3回のステロイド注射が1ヶ月以上の間隔を開けて実施された。患者には自宅での振り子運動を指導された。
患者は少なくとも最初の1ヶ月はできるだけ病院に来ないように申し渡されていた。施術後1,3,6ヶ月で追加治療を希望する際の連絡先を書いた紙を渡された。連絡すると研究のコーディネーターが出て、リハビリ群は更にリハビリを頑張るように、注射群はもう一度注射に行くように説得するような仕組みになっていた。もし患者が最初の紹介医のところに戻りたいと希望した場合には紹介医のもとでベストと思える治療が行なわれるようになっていた。
アウトカムとフォローアップ
アウトカムは、1か月後、3ヶ月後、6ヶ月後、1年後で行った。SPADIは100点満点の患者立脚型評価である。
GRCは患者が自分自身のQOLについて変化した具合を測定する方法。
NPRSとは0-10ポイントで患者が感じるいたみの程度を調査者が聴取する方法である。
リサーチアシスタントがブラインドでデータを集めた。データ収集後追加治療について記載した。家庭医、整形外科医、リウマチ科医の下を訪れた回数についても記載を行った。
統計学的評価
最初にSPADIでの変化量を予想してサンプルサイズを決定。43例で充分であると判断した。欠損データには多重代入法を用いた。95%信頼区間を用いて評価をおこなった。
結果
22ヶ月間の研究機関。242例の保存的治療の患者が抽出されたが、138例の患者が除外された。除外された理由は図1のとおりである。
表1に患者背景を占める。リハビリ群でステロイド注射群よりも喫煙率が倍高かった。
ステロイド注射群の全患者が少なくとも1回はステロイドの注射を受けた。38%の患者が2回以上のステロイド注射を希望した。リハビリ群では6患者が最大の6回のリハビリテーションを受けた。リハビリ単位数の最大は6,平均5.5であった。
1年後のアウトカム
図2参照。96%の患者が1年後の評価を受けにきた。いずれのグループもSPADIで50%以上の改善を認めていた。いずれの群がすぐれているということが言えなかった。それぞれの評価ポイントでの違いについて表2に示す。欠損値に対して統計学的処理を加えてもこの結果は変わらなかった。いずれの群でも有害事象は報告されなかった。
医療機関の利用について
図3に医療機関利用程度について示す。ステロイド注射群が医療機関を頻繁に利用した(60%)なに対し、リハビリ群では37%と低率であった。MPTグループはステロイド注射軍よりも追加治療としてステロイド注射を使用した割合が低かった(20%と38%)。本研究以外でも治療をうけた部分まで含めると、ステロイド注射群は合計4回注射を受けているのに対して、リハビリを受けた群で注射を受けた群は合計3回で、その割合も19%と9%とリハビリ群の方が少なかった。
考察
どちらの治療法をおこなっても1ヶ月で症状は有意に改善し、その後その状態が持続した。多くの報告が12週間程度の短期間の報告で、1篇だけが1年間の長期フォローの報告であった。コントロールのないケースシリーズの報告ではステロイド注射の1年後の満足度は88%であると報告されており、またメタアナライシスの結果では12週を過ぎると注射の効果がなくなるということを報告している。
ステロイドの関節内注射の長期成績は疑問視されていた。また同様に潜在的な有害事象が有ることも知られている。例えば上腕骨外上顆炎の患者で、ステロイドの局所注射、リハビリ、経過観察群、プラセボ注射群で比較すると短期的にはステロイドの局所注射群が最も効果的であるが、1年経過したところではプラセボグループ、経過観察軍よりも成績不良となる。本研究ではこれらの結果と異なる結果となった。しかしながらステロイドの関節内注射の安全性については未だに議論が残る。しかも症状の消失が病態の進行を抑えているわけではないことにも注意を要する。ラミレスらは腱板断裂が遺残していてもステロイド注射によって症状が消失する例があることを報告している。今後病状の進行についても両群間で比較を行うことが必要である。
長期間にわたってのリハビリの効果というものはよく知られている。しかしながら今回の結果ではステロイド注射群と同様の成績であった。よく似た研究としてはステロイド注射群と鍼治療を行った群での1年後の比較であった。2群とも改善を認め、その改善度には2群間で有意差を認めなかった。本研究とはアウトカムが異なるため一概に同一の結果とは言えない。他にもグループ単位でリハビリを行った群とステロイド注射群との間に差がなかったとする報告がある。
ステロイド駐車群では医療機関を受診する回数がリハビリ群よりも多かった。ステロイド注射群の38%が2回以上の追加注射を必要とした。一方、MPTグループの20%がステロイド注射を追加で受けた。リハビリグループは追加の維持リハビリを要求されることはなかった。リハビリ群の4患者が追加リハビリを、ステロイド注射群の10患者が追加リハビリを希望した。この追加リハビリによってより疼痛、昨日の改善をみた。
肩の状態に関連するその他の因子としては社会、精神的な問題、恐怖心、疼痛回避のためにある動作を取らなくなることなどが挙げられる。また肩の痛みは不眠と関連している。これらの患者は肥満で有ることが多いが、本研究で2群間の肥満の程度には代わりがなかった。またタバコの使用も肩の痛みにつながることが知られている。リハビリ群の方が喫煙者は多かった。また軍の訓練経験者がリハビリ軍よりもステロイド群で多かった。軍隊での修練が肩の痛みに影響を与えている可能性もある。しかしながら軍退役後20年ということは、引退は38歳ということになり、退役した年齢よりも高いため関連は薄いものと考える。
ステロイドの関節内注射は比較的安全であった。有害事象としては一時的な痛み、皮膚の色素沈着が認められた程度であった。ステロイドの関節内注射によって腱板の全層断裂が引き起こされる可能性がある。リハビリではそのような有害事象についての報告を認めなかった。これは一つに注射を嫌がるヒトは本研究の選定段階で除外されていることも関連するのかもしれない。リハビリはより危険の少ない方法であるといえる。
本研究にはいくつかのlimitaionがある。一つは患者、医師ともブラインドがかかっていない状態で治療を行っていることである。これは介入としてリハビリを行うため仕方ないのであるが、そのため本研究は一般的な外来診療と異なるサンプルを対象としてしまっている可能性がある。また幾人かの患者はすでにリハビリを受けて閉まっていた。また注射を希望しないということで研究から除外された患者はすでにリハビリを受けていたということもバイアスがかかっている一つの証左である。
その他のlimitaitonとして肩関節インピンジメント症候群の診断の問題がある。本研究では以前報告された方法を用いて肩関節インピンジメント症候群と診断した。画像を診断に用いると、とくにMRIで症状がないのに異常所見が認められることがある。またdrop arm signがない症例を対象とした。これは全層の腱板損傷の患者を除外するためである。ステロイドの局所注射、リハビリともに腱板の全層断裂に有効である可能性がある。本研究ではより患者の層を均質化するためにこれらの患者を除外した。コクランライブラリーでは大きな腱板の全層断裂では治療方針が変更される可能性があるのでスクリーニングが必要であるとしているが、本研究では腱板断裂の患者でも比較的容易に症状が改善したため、この意見には疑問が残るとかんがえる。SABへのステロイド注射は肩関節インピンジメント症候群のひとつの診断要件であるからだ。
ひょっとしたら軍人保険外の範疇で何かの治療を受けたかもしれない。しかしながら軍人保険システムはすべての医療費を賄うようになっており、それ以外の治療を受けた可能性は低いものと考える。また本研究ではフォロー時に余分な何かの治療を受けたかどうかを聴取している。
今後の研究課題としては肩関節インピンジメント症候群の新規の症状についてリハビリ群とステロイド注射軍との間で比較することである。またよりよい治療介入の時期についても検討を要する。
リハビリとステロイドの局所注射ではほぼ同様の治療成果をあげた。しかしながらステロイド注射群の方が受信回数が多かった。どのタイミングでどの治療法を提供するとよいかということの検討が今後必要である。
2014年7月28日月曜日
20140728 Bogunovic, Ljiljana, et al. "Activity Tolerance After Periacetabular Osteotomy." The American journal of sports medicine (2014)
JOSKASが先週末に広島で開催されました。
開催期間中、私はシコシコと代務に勤しんでおりましたが。。。熱い議論が繰り広げられた様子がfacebookなどからも伝わってまいりました。
スポーツと股関節といえば股関節鏡が花盛りですね。
一時は何でも関節鏡でいけるんやで!みたいな風潮もありましたが、それも一段落。
スポーツの世界からでてきたFAIという概念が股関節の変性疾患の常識も変えつつあります。
開催期間中、私はシコシコと代務に勤しんでおりましたが。。。熱い議論が繰り広げられた様子がfacebookなどからも伝わってまいりました。
スポーツと股関節といえば股関節鏡が花盛りですね。
一時は何でも関節鏡でいけるんやで!みたいな風潮もありましたが、それも一段落。
スポーツの世界からでてきたFAIという概念が股関節の変性疾患の常識も変えつつあります。
さて、骨切りとスポーツはどうなっているのかなと見渡した時にそういう議論は今までなされて来なかったのですね。。。
これではイカン!と思ったら、研究していらっしゃる先生がおりましたので早速読んでみました。
これではイカン!と思ったら、研究していらっしゃる先生がおりましたので早速読んでみました。
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抄録
PAOは症状のある形成不全性股関節症に対して有用な方法である。しかし術後のスポーツ参加、アクテビティレベルの報告は皆無である。
後ろ向き研究。36症例の検討(15例が男性、21例が女性)。15歳から45歳。平均25歳。BMIは24±3.5。平均フォロー期間は33ヶ月。平均CE角は14度、AHIは21%。Tonnisgradeは0-1であった。1例がTHAに置換された。71%の患者が活動性が向上したまたは変わらなかったと報告した。またUCLAスコアを測定したところ術前9.2が術後8.8と変化を認めなかった。HarrisHipScore,WOMACスコアはそれぞれ術前よりも回復している。97%の患者が手術に対して満足していた。4例11%の患者が術後股関節痛のために日常生活動作に制限を加えていた。
PAOの術後の多くの患者が術後も高いアクティビティレベルを保っていた。
FAIがアスリートの股関節痛の原因のひとつであると認識されてきているが、古くから臼蓋形成不全はエッジローディングによる関節唇、関節軟骨の損傷に伴う疼痛を生じることが知られている。臼蓋形成不全の治療法は変形の程度に依存する。GanzのPAOは臼蓋形成不全に対して有効な治療方法のひとつである。
関節温存療法は患者が求めるアクティビティレベルまで回復する可能性があることである。
関節鏡の一つのメリットは侵襲が小さいことが挙げられる。股関節鏡の回復までの期間は4から26ヶ月後で有ることが報告されている。
PAO術後はアクティブなスポーツへの復帰が困難かもしれないとする報告が幾つかある。(2つ報告、ともにPhillipon先生の報告)本研究の目的はPAO後の実際のスポーツ復帰率を調査することである。
方法
2007年から2011年までにPAOを受けた151例。全症例で術前のUCLAスコアが7以上であった。術前18ヶ月間はUCLAスコアが7を超えているような患者を活動的な患者として本研究では対象とした。inclusion criteriaに合致したのは45症例であった。プロフェッショナルレベルの患者は居なかった。全症例がレクリエーションれべるから大学スポーツレベルの患者であった。
手術の対象となったのは少なくとも3ヶ月間の疼痛が持続。運動制限、理学療法を行い内服治療を行っても改善しなかった症例のうち、レントゲン写真上で明らかな臼蓋形成不全を認める症例とした。
術後後療法
4週間は20ポンド荷重制限。CPM0-60度。4時間から6時間を毎日。18歳以上ではDVT予防でアスピリンを6週間内服。90度以上の股関節屈曲は禁止。
術後4週を越えたところで荷重制限なし。可動域制限なく他動的関節可動域訓練を開始。エアロバイクを4週から9週の間で開始。4ヶ月でスポーツ復帰を許可した。
術後評価
UCLAスコア、HHS,HOOSを用いて評価をおこなった。
結果
15%の患者でPAOの前に何かしらの手術治療が加えられていた。以前に大腿骨骨切り、臼蓋骨切り、骨移植をおこなったあとの18歳男性にPAOをおこなったが27ヶ月後にTHAにコンバージョンした。
35患者38関節で術前術後のPAOは9.2から8.8と変化がなかった。すべての診療評価で改善が認められた。71%の患者で術前よりも活動性がました(51%)または変化がなかった(20%)という結論であった。
89%の患者が痛みがなくなったために運動を再開するようになったと報告する一方、11%の患者で痛みのために運動を差し控えるようになった。
97%の患者が手術に満足していると回答した。35歳以上の7患者については全患者が手術について満足していると述べた。5例が活動性が改善し、1例が変化なし、1例で活動性の低下を認めた。
考察
PAOは疼痛、機能を改善させ、術前のスポーツレベルにまで改善させることができる。71%の患者が術後の元のスポーツレベルまたはそれ以上のスポーツレベルにまで復帰することが出来た。11%の患者ではPAOの術後にスポーツレベルが落ちた。
DDHが有るような患者の治療方針の決定は未だに議論のあるところである。中程度から高度の臼蓋形成不全があるような患者では寛骨臼骨切り術が有効である。中程度から軽度の臼蓋形成不全の患者ではいまだ最適な治療方法というものは決定していない。PAOの術前に関節内操作を行うことでそれが成績の改善に結びつくこともあるが、関節鏡が痛みの原因となったり機能障害の原因となることもある。
アスリートのPAO術後の機能についての報告はほとんどない。2002年のJBJSの報告、2013年のCORRの報告で痛みがとれると活動性がますとした報告のみである。
本研究では11%の患者を除いて競技に復帰し、97%の患者が満足していたということがポイントである。
本研究の強みは男女取り混ぜて研究していること、様々なスポーツレベルの患者がいることである。
本研究の限界は後ろ向き研究であること、UCLAで7以上と設定したが、これの設定では活動性の定義がクリアにならなかったこと、WOMAC,HOOSではceiling effectのために改善具合がわからなくなったことが挙げられる。
PAOは活動性の高い患者に対しても充分耐えられる術式であり、71%が競技に復帰することがわかった。
<論評>
骨切り術後のような大きな手術のあと、気になるのは筋力低下ですがそこについての言及はありませんでした。
またプロレベルのアスリートで適応できるのかは不明です。
骨切り術は復帰までの時間が長くかかるということが言われていますが、うちだ先生の関節鏡下棚形成術をおこなった患者でも4ヶ月かかって荷重開始と書かれていましたので、骨切り術でもそんなに不利はないのかもしれないと考えるようになりました。
逆に、骨切り術の成績をあげるためには関節鏡の技術(関節唇形成、cam lesionの切除)を追加べきでは無いかと考えるようになったのがこの週末の収穫です。
2014年6月27日金曜日
20140626 JBJS(Am) A Comparison of Various Contemporary Methods to Prevent a Wet Cast
久々にJBJSに僕好みのおもしろ論文が。
ギプスを巻いた時には濡らさないように、と注意されますがその時何で保護するとよいでしょう?という論文です。
僕は、「名古屋市の大きい方のゴミ袋がいいですよ~。口はガムテープで止めてねー
」と患者さんに伝えておりますが、果たして今回の検証の結果はいかに。
抄録
ギプスを濡らさないようにするために、古来から考えられてきた方法や、ギプスを濡らさないようにする専用の靴下があるが、実際にどの方法がよいかというのは検証されていない
マネキンの足にギプスを巻いた。その上で次の6つの方法を試した。
A Glad® Press'n Seal® wrap(アメリカ版サランラップ。粘着力が強力)
B ビニール袋にゴムバンド
C ビニール袋にガムテープ
D ビニール袋2重にしたうえにガムテープ
E CVS Pharmacy Reusable Cast & Wound Protectorという薬局で売っている専用の下肢保護靴下。
F Dry Corp Dry Pro Large Half LegWaterproof Cast Cover
写真に載せた特殊な防水長靴下
この6つの方法を比較検討した。
方法はギプスを巻いたマネキンの足を2分間水中に着ける。その後取り出して検査前と後での重量を比較しギプスにどの程度水分が吸収されたかを測定するという方法をとった。
結果、防水率は62%ー100%であった。A,Bはそれなりで、D,E,Fは最も効果的であった。
C,D,Eの方がA,B,Fよりも取り扱いしやすかった。
結論 ビニール袋2重か、CVSプロテクターが安くて効果的である。
背景
ギプスは骨折の治療などに昔から使われている方法である。ギプスは水に濡らすと強度が落ちる。また中の綿が湿っていることで皮膚トラブルを惹起する。ある研究では救急外来をギプスのトラブルで受診する患者の30%がギプスが水に濡れてしまった。ということであると報告している。
昔からビニール袋にで保護するように言われてきた。最近はよい保護材も出てきている。
AAOSの推奨ではビニール袋を巻いてシャワーをあびるようにするべしとなっている。しかしAAOSのその推奨には文献的な裏付けはなく、またコストがどの程度かかるのかということもわからない。
本研究の目的はギプスを保護するのに良い方法はなにかということを検討することである。
この研究に関するCOIはない。
考察
いずれの方法も一定以上の防水性はあった。しかしながらビニール袋を2重にする方法、CVS保護材、DryCastカバーの3つの方法が特に有用であった。6週間のコストを計算するとビニール袋が10ドル、CVSが11ドル、DryCastカバーが38ドルであった。難易度もDryCastが最も難しかった。
以上からビニール袋2重とCVS保護材による保護がもっとも良いのではないかと考えられた。
先行研究としてはNielsenの商業ベースでの研究がある。その研究では保護材は水泳している時には役に立たなかったが、ビニール袋による保護は水泳にまで堪えたと報告している。ニールセンたちは統計的な検討を行っていない。本研究は統計的に昔から言われている方法を検討したものである。
AAOSが推奨しているように、ビニール袋を二重にしてテープで固定する方法は、統計的に検討を行ったものの誤差を生じることはなかった。
本研究にはいくつかのlimitationがある。
ひとつは水につけているだけなので普段の生活を反映していない可能性があること。CVS、DryCastカバーを6週間実際に継続使用したわけでは無いので途中で壊れてしまうことも有るかもしれないということは考慮されていない。
マネキンを使って実験しているので、テープによる皮膚障害の可能性を考慮できていない。またひとりの検者による計測のみであることも問題である。
今後は実際の活動時にどうなるかということの検証が必要である。
そもそも患者が水辺に近づかないように指導することがひとつ。どうしても近づきたいときにはビニール袋2重にするか、CVSを装着すると良いのでは無いかと考える。
<論評>
2分間も水の中に完全に浸かるという実験方法がよいのかどうか考えてしまいますが。。。
普通の生活であればビニール袋で充分なのでしょう。
おもしろかった。
ギプスを巻いた時には濡らさないように、と注意されますがその時何で保護するとよいでしょう?という論文です。
僕は、「名古屋市の大きい方のゴミ袋がいいですよ~。口はガムテープで止めてねー
」と患者さんに伝えておりますが、果たして今回の検証の結果はいかに。
抄録
ギプスを濡らさないようにするために、古来から考えられてきた方法や、ギプスを濡らさないようにする専用の靴下があるが、実際にどの方法がよいかというのは検証されていない
マネキンの足にギプスを巻いた。その上で次の6つの方法を試した。
A Glad® Press'n Seal® wrap(アメリカ版サランラップ。粘着力が強力)
B ビニール袋にゴムバンド
C ビニール袋にガムテープ
D ビニール袋2重にしたうえにガムテープ
E CVS Pharmacy Reusable Cast & Wound Protectorという薬局で売っている専用の下肢保護靴下。
F Dry Corp Dry Pro Large Half LegWaterproof Cast Cover
写真に載せた特殊な防水長靴下
この6つの方法を比較検討した。
方法はギプスを巻いたマネキンの足を2分間水中に着ける。その後取り出して検査前と後での重量を比較しギプスにどの程度水分が吸収されたかを測定するという方法をとった。
結果、防水率は62%ー100%であった。A,Bはそれなりで、D,E,Fは最も効果的であった。
C,D,Eの方がA,B,Fよりも取り扱いしやすかった。
結論 ビニール袋2重か、CVSプロテクターが安くて効果的である。
背景
ギプスは骨折の治療などに昔から使われている方法である。ギプスは水に濡らすと強度が落ちる。また中の綿が湿っていることで皮膚トラブルを惹起する。ある研究では救急外来をギプスのトラブルで受診する患者の30%がギプスが水に濡れてしまった。ということであると報告している。
昔からビニール袋にで保護するように言われてきた。最近はよい保護材も出てきている。
AAOSの推奨ではビニール袋を巻いてシャワーをあびるようにするべしとなっている。しかしAAOSのその推奨には文献的な裏付けはなく、またコストがどの程度かかるのかということもわからない。
本研究の目的はギプスを保護するのに良い方法はなにかということを検討することである。
この研究に関するCOIはない。
考察
いずれの方法も一定以上の防水性はあった。しかしながらビニール袋を2重にする方法、CVS保護材、DryCastカバーの3つの方法が特に有用であった。6週間のコストを計算するとビニール袋が10ドル、CVSが11ドル、DryCastカバーが38ドルであった。難易度もDryCastが最も難しかった。
以上からビニール袋2重とCVS保護材による保護がもっとも良いのではないかと考えられた。
先行研究としてはNielsenの商業ベースでの研究がある。その研究では保護材は水泳している時には役に立たなかったが、ビニール袋による保護は水泳にまで堪えたと報告している。ニールセンたちは統計的な検討を行っていない。本研究は統計的に昔から言われている方法を検討したものである。
AAOSが推奨しているように、ビニール袋を二重にしてテープで固定する方法は、統計的に検討を行ったものの誤差を生じることはなかった。
本研究にはいくつかのlimitationがある。
ひとつは水につけているだけなので普段の生活を反映していない可能性があること。CVS、DryCastカバーを6週間実際に継続使用したわけでは無いので途中で壊れてしまうことも有るかもしれないということは考慮されていない。
マネキンを使って実験しているので、テープによる皮膚障害の可能性を考慮できていない。またひとりの検者による計測のみであることも問題である。
今後は実際の活動時にどうなるかということの検証が必要である。
そもそも患者が水辺に近づかないように指導することがひとつ。どうしても近づきたいときにはビニール袋2重にするか、CVSを装着すると良いのでは無いかと考える。
<論評>
2分間も水の中に完全に浸かるという実験方法がよいのかどうか考えてしまいますが。。。
普通の生活であればビニール袋で充分なのでしょう。
おもしろかった。
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